Library Cafeについて
飛鳥シャードにあるLibrary Cafeは、Ultima Onlineの作家さんが書いた本(PC本)を中心に収集・公開を行っている図書館カフェです。本館にはPC本を、すぐ南東にある別館Library Cafe AnnexにはNPC本を、計1428冊を収蔵してます。収蔵図書の詳細は所蔵図書リスト200803をご覧ください。
SA本の収蔵状況についてはこちらをご覧くださいませ。
現代のブリタニアで活躍している作家さんたちを順番にご紹介する新コーナー「今、旬な作家たち」。第1回目の今回は、先日開催された第一回飛鳥文学賞で、大賞と桜Skara Brae賞をダブル受賞された、HidokuKurai SORAさんを特集させていただきます。独特の熱のこもった文体で存在感を放つHidokuKurai SORAさんの世界を、どうぞご堪能下さい。
HidokuKurai SORAさんインタビュー
ーー本を書き始めたきっかけは何ですか?
HidokuKurai SORA これはひどくくらい話なんですが……。 十数年前にUOを辞めてから年に数回くらい当時一緒に遊んだ、もう会えないだろう人たちの事を思い出して、強烈な寂しさに悶々とする事がありました。去年秋のモンモン期にEJの存在を知り復帰したんですが、その時にUO本とゲーム内の図書館という文化を教えていただき、そして閃きました。自分のUOを本に閉じれば、もうUOに囚われる事もなくなるんじゃないか。モンモン期の終焉……。そう思ったのがきっかけです。くらいです。 あとは作品や名前が表に出れば、もしかしたらまた会えるかも……会えなくてもいつか作品が目にとまるかも……そんな期待も少しありました。
ーーHidokuKurai SORAさんと言えば、密度の濃い熱のこもった文体が魅力的です。こうした文体はどのように生み出されたのですか?
HidokuKurai SORA これは非常に難しい質問です。 単純に面白いからとか、これまで読んだ小説などの影響とか色々あると思いますが、私は家族が寝ている横で、自分も寝ながらスマホで書くことが多いです。 暗く静かな寝室で、私の顔とスマホに映る文字との距離は鼻息がかかるほど…… つまり……心理的密室……。そういうかなり入り込んだ状態で書いているからかも知れません。 ただ過去を辿るとき、モニタ越しのクオータービューでしか見ていなかったはずの世界なのに、息遣いや体温、匂いまで記憶しているようで、それを表現できるようには心掛けています。
ーー「黒熊亭~読書の秋」ではジョーダン賞を、「第一回飛鳥文学賞」では大賞と桜Skara Brae賞をダブル受賞と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いですね。ご自身の活躍をどう思われていますか?
HidokuKurai SORA ます読んでいただいた皆様はもちろん、これから読む可能性のある皆様にフライング感謝します。ありがとうございました。 賞をいただけた事はもちろん嬉しいですが、作品の優劣ではなく、その時書いたものと選んでいただいた方の嗜好、トレンドやタイミングなんかが噛み合った結果だと受け止めています。 こういった催しの素晴らしさは賞それ自体よりも、書いたものを多くの人に見てもらえる、そして感想をいただける!事にあったと思います。
ーー飛鳥文学賞大賞受賞作「Engraved with you」は、それまでと打って変わって淡々とした筆致で驚きました。大胆に作風を変えた理由はありますか?
HidokuKurai SORA 応募条件が一冊に収める事だったので、いつもの調子で書いたらハミ出るんじゃないかとビビったのが半分、実際書きはじめると地の文が煩くない方が内容と合ってしっくりきたのが半分、長尺なので途中で勢いが止まらないようテンポよくというのが追加で半分、今回は登場人物の名前や描写に使う言葉、全体の構成などを一つの大きなテーマに沿うよう決めていたので、一つ一つをみっしり書かなくても話全体を通じて書きたいことを表現できるかなと思ったのが最後の半分です。 200%ありました。200%出し切った結果ですね。でも結局ページ余りましたね。
ーー次回作の構想、あるいは、書いてみたいストーリーなどはありますか?
HidokuKurai SORA UO本の先輩方が書いたお話や復帰後に出会った人の影響とかもあって、いつか書いてみたいと思うものは増えました。例えば学園恋愛物とかでしょうか……。 元々書きたかった話はT2AからTDあたりまでの事で、複数の人の物語を繋げながら徐々に時間を進めていこうと思ってSome Stones Storiesという名前を付けたんですが、ブラックソーンおじさんをして大丈夫?と言わしめるようなカオスな感じになりそうで、なかなか進んでおりません……。
ーー最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
HidokuKurai SORA 今ブリタニアにいる人も、離れている人も、それぞれの内にあるUOに少しでも触れることが出来ればいいなと思います。もし今離れている人で、私や他の方の作品を見て何か感じる事があったのなら、EJがあります。今はUO再開に覚悟や課金は不要です。ぜひ隙だらけでログインしてください。 私が本を書き始めたきっかけは自分のUOを終わらせたいでしたが、復帰酔いの千鳥足ですれ違う人たちにぶつかりながら歩くうちに、いつの間にか新しいUOが始まっていました。 これからも現実と同じように、なんとなくだらだら続けていくと思いますので、ブリタニアでお会いした際は、どうかひとつよろしくお願いします。
ーーありがとうございました。ますますのご活躍をお祈りしております。
HidokuKurai SORAさんはこれまでに4作品10冊(うち5冊は100ページ本!)を発表されています。これまでもご紹介してきましたが、あらためて作品をご紹介いたします。
HidokuKurai SORA作「Some Stones Stories」(全3巻)
とある罪を犯し、Court of Truthで裁かれることになったMotsugoro。彼に課されたのは、Yewの診療所での奉仕活動でした。彼はそこでテイムの修行をはじめますが・・・。ブリタニアでの日常が、熱のこもった個性的な筆致によって摩訶不思議に描かれます。
HidokuKurai SORAさんの記念すべき処女作ですが、その個性と文体はすでに完成されていました。ご覧ください、このページを埋め尽くす文字を。読者は文字情報の熱帯雨林をさ迷ううちに、HidokuKurai SORAワールドに引きずり込まれていきます。
HidokuKurai SORA作「HardBoiledPotatoSalad」(全5巻)
代々トレジャーハンターを家業とする家に生まれたRyuanは、16歳になって独り立ちするにあたり「偉大な」トレジャーハンターCaptain Jordanに弟子入りすることになりました。でも彼は知らなかったのです。想像をはるかに超えた非日常の世界に巻き込まれることを・・・。
ギルド#RPG主催による文芸イベント、「黒熊亭~読書の秋」への応募作品で、#RPG随一のトリックスター、Captain Jordanさんを主人公にした作品です。Captain Jordanさんのキャラクター設定とHidokuKurai SORAさんの文体が異種格闘技のように挑み合い、見事「ジョーダン賞」を獲得されました。
HidokuKurai SORA作「SomeStonesStories 2」
Dragon Tamerを目指すMotsugoro-は日々特訓に明け暮れていたが、やがて成長は停滞し、いつしか酒に逃げるようになっていた。そんなMotsugoro-の前に現れたベテランテイマーBIG YOSHIDA。彼はMotsugoro-に賭けを提案する。2羽のchickenのうちどちらがgreater chickenか当ててみろ、と。
第一回飛鳥文学賞応募作にして、処女作「Some Stones Stories」の続編です。Motsugoro-とBIG YOSHIDAのテイム合戦(?)が、おなじみの濃厚な文体で描かれます。飛鳥文学賞の「1冊読み切り」というレギュレーションによって、いつもより文量は少なめですが、その分濃密なHidokuKurai SORAワールドが展開されます。桜スカラブレイ首長様Tさん選出による「桜Skara Brae賞」を受賞されました。
HidokuKurai SORA作「Engraved with you」
フェルッカに店をかまえる鍛冶屋Torus。ある日彼は、店に侵入してきたPK、Revolveにナイフを突きつけられます。観念したTorusでしたが、Revolveの反応は意外なものでした。このナイフの作り主を探している、と。ナイフの精巧な造りに魅せられたTorusは、人探しの協力を申し出ますが。
第一回飛鳥文学賞のもうひとつの応募作品です。あるPKをめぐる罪と罰、彼を取り巻く人々の錯綜する思いが、それまでとは打って変わった、淡々とした叙述で展開されます。その無駄のないそぎ落とされた文体と、確かな心理描写は審査員一同をうならせ、満場一致の「大賞」受賞が決定しました。
HidokuKurai SORAさんの作品は、Library Cafe1階「04. 作者名G・H」の書架と、2階「22. 黒熊亭~読書の秋応募作品」の書架に収蔵しています。HidokuKurai SORAさんのブログSome Stones Storiesでも読むことができます。あわせてご覧くださいませ。
今回もお読みいただきありがとうありがとうございました。ぜひ飛鳥シャードの図書館、Library Cafeにいらしてくださいね。また桜シャードの図書館、NewMagincia Petrushka Library、出雲シャードの図書館、Magincia Libraryもよろしくお願いいたします。
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Profile
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Latour(ラトゥール)と申します。みなさんには「ラー」あるいは「司書」と呼んでいただいています。
飛鳥の図書館カフェ「Library Cafe」で司書をしているかたわら、私自身も作家活動も行っています。
本業は「人間も動物も治療できる専業ヒーラー」だったのですが、最近は冒険に出かけることもほとんどなくなり、図書館にこもってばかりいます。
プロフィール画像はPicrewの「こんぺいとう**メーカー」で作成しました。
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