第三回飛鳥文学賞:大賞および各賞発表!

Library Cafeについて

飛鳥シャードにあるLibrary Cafeは、ウルティマオンラインのプレイヤー作家が書いた本(PC本)やNPC本の収集・公開を行っている図書館カフェです。Library Cafe本館)、Annex(分館)、Neo(新館)の3つの図書館に分けて収蔵されたたくさんの本たちをどなたでも読むことができます。

 

現在の収蔵している4024冊の本たちの詳細は収蔵図書リスト20220605をご覧ください。またSA本の収蔵状況についてはこちらをご覧ください。

 

Library Cafe本館にはルナゲート近くのFreeSpaceAsukaさんからハウス間テレポーターでお越しいただくのが便利です。また本館・別館・新館の各館はテレポーターで相互に結ばれており、簡単に行き来することができます。詳しくはLibrary Cafeへの行き方をご覧ください。

 

Twitterでも本のご寄贈など日々のLibrary Cafeの様子をご紹介しています。あわせてご覧くださいませ。

 


第三回飛鳥文学賞の各賞が発表されました

飛鳥ベスパー雑記で第三回飛鳥文学賞の各賞受賞作選評が発表されました。今回は大賞および各賞の結果をあらすじに審査員選評をつけてご紹介いたします。左の素敵なイラストはくっちゃねさんの作品です。今年も飛鳥文学賞の様子を描いてくださいました。ありがとうございます。

 

 

2022年6月6日放送のバッカニアーズ・デン・マンデーでは、第三回飛鳥文学賞の応募全22作品のあらすじが1時間半にわたって紹介されました。様々なジャンルの文学に造詣の深いCaptain Jordanさんと、驚くほど映画の知識が豊富なBAR-chinさんによって、各作品が魅力的に紹介されています。

 

 


【大賞】該当作なし

【佳作】Gren作「Setsu Getsu Ka 雪月花」

「眠れないの。お話をして、お婆様」「はいはい。分かりました」ある夜、少女にせがまれた老女が枕元に座って静かに語り出したのは、「雪」「月」「花」の名がついた3つの章からなる物語でした。それらのお話はどれもとある種族にまつわるお話です。そしてその種族とは・・・。

【佳作】Super Cool J.作「Thieves Guild」

ブリテインの盗賊ギルドの掟は3つ。「仲間から盗まない」「密告をしない」「殺しはしない」。そんな盗賊ギルドに所属する「オレ」は、ひさしぶりの大仕事に臨みます。ターゲットは貴族の邸宅。同じギルドのグスタフ翁と弟分のアレンとともに首尾よく屋敷に忍び込みますが・・・。

 

審査員選評(OUT:飛鳥文学賞実行委員会委員長)

まずは今年も沢山のご応募を頂戴し、心から感謝申し上げる。数々の傑作・佳作を発掘してきた当文学賞も第三回を迎え、UO作家諸氏の腕前に益々磨きがかかって来たのと共に、読者の目、そして飛鳥のUO文芸界隈の要求もまた、足並みを合わせてシビアなものとなりつつある気配を感じている。
残念ながら今回は、大賞を選出することが出来なかった。これは前二回に比べて、応募作の程度が下がったからではない。むしろ逆で、押しなべて各作品の完成度は底上げされており、UO文芸界は確実に、着実に、成長の歩みを進めている。逆に言えば「ステージを一段上がって」しまったが故に、厳しい結果とならざるを得ない場合もあるという事だ。
今回の両佳作は、第一回、第二回の時に応募されていたとしたら、間違いなく大賞レベルの完成度と言えよう。実際、私は『Thieves Guild』を本年度の大賞に推していた。「UOのファン作品」という枠を超えた強度を持つ小説であり、非の打ち所がない描写力があり、生々しいノワールの匂いがあった。他方『雪月花』では、「UOならではの要素」が中心に据えられ、独自の解釈による奥行きと広がりを存分に味わうことが出来た。どちらも卓抜した、甲乙つけがたいUO小説である。
事ここに至っては最早、当たり障りのない誉め言葉は意味を成さない。我々は真剣に両作品の優れた点と、引っ掛かった点を議論した。この物語は、本当にUOでなければならなかったのか?この展開には結末ありきの強引さを感じないか?「大賞作品」が持つ意味とは?
腹を割った話し合いの末、どちらを大賞とするかについて、「有無を言わせぬ決定打」というものが出せない事実、それ自体が結論なのだ、というところに我々は決着した。飛鳥のUO文芸のクオリティがここまで来てしまった事に、我々は戦慄を覚えずにはいられなかった。
両佳作は紛れもない優秀作品である。近年書かれたUO本としては、どちらも屈指の出来だ。惜しむらくも大賞に至らなかったという事実は、決してこの二作品を貶めるものではないと、最後に重ねて申し上げておきたい。

 

【BBNN賞】Chandra作「Ballot Box 投票箱」

アダルベルトとウィルバーが受けた依頼は、Mugenのバースレアアイテム「投票箱」の奪還に力を貸してほしいというものでした。でもどうやら訳ありの様子。2人は行動を開始しますが・・・。「木箱の中身」「鍵のかかった箱」に続く『箱三部作』の三作目。おなじみのキャラも登場します。

 

審査員選評(OUT:飛鳥文学賞実行委員会委員長)

「箱三部作」の三作目、今回もまた予想外の展開で、「そうきたかぁ~~~ッッッ」と嬉しい歯ぎしりを漏らした。魅力的なキャラクター達には、連作であるが故の愛着が湧いて、彼らと一緒にひと仕事したいものだと思わせてくれる。前二作を読んでおいたほうが確実に楽しめるので、まだの方は是非、図書館でチェックしてください!

 

 

【ベスパー賞】nekokap作「see you 会えたらいいね♪」

「僕」にはちょっと気になる女の子がいました。彼女はある日、僕の隣にぼんやり立っていて、声をかけようとしたらふっと消えてしまいます。仲間に聞いてみたら、どうやら同じギルドに所属しているようです。けれども一度も見かけたことがありません。はたして彼女の正体は・・・。

 

審査員選評(Bunzo:飛鳥ベスパー首長)

夢のような、現のような可愛らしいお話。 「キャラクター」と「プレイヤー」が混同しているふんわりとした曖昧さがこの作品では魅力のひとつだと思います。 UOをやり尽くした「知る人ぞ知る」のような玄人向けの事柄でもなく、誰もが一度は体験するようなありふれた現象を取り上げたのも好印象でした。

 

 

 

【ミノック賞】「Human TENSEI 2022 ヒューマン転生 2022」

徳之諸島の誉島の沼を治める蛙として裕福に暮らしていた「私」の日常は、突如押し寄せた人間たちによって乱されてしまいました。人間たちが去った後、沼の復興に燃える私は素晴らしいことを思いつきます。「人間になって、この沼を守る」 さっそくヨモツの長老を訪ねますが・・・。

 

審査員選評(FALF:飛鳥ミノック首長)

カエル転生再び! 今年は昨年から今年までにトクノに起こった時事ネタなどが盛り込まれてパワーアップ。 知られざるトクノのカエルたちの商売や、カエル以外のトクノの生物たちについて描かれているシーンがとても好きでした。 個人的に、そう言った人間ではない動物やモンスターの世界について想像を広げていく物語が好きなので楽しく読ませていただきました。 ありがとうございました!

 

 

【大樹の木漏れ日賞】Kryten作「Nujelm Bride ニュジェルムの花嫁」

スカラ・ブレイに買い出しに来た「私」は、不思議な女性にでありました。彼女は純白のウェディングドレスをまとっているのに、髪を覆うヴェールや花冠も、宝石を嵌めた腕輪や首飾りもありません。ニュジェルムまに行きたいという彼女に、エスコートを申し出た私ですが・・・。

 

審査員選評(HOLLY-BELL)

Nujelmと言えば花嫁、式場。誰もが思い浮かべる華やかな結婚式。 ところが結婚式は行われず、花嫁はいずこかへ。 そしてブリタニアの歴史を知るものなら訝しむ過去の出来事を耳にします。 一瞬これは談・・・?と身構えましたが、 読み進めるうちに登場人物のやさしさ・思いやりに触れることになります。 不穏さを感じた冒頭から転じて、温かい心に触れる物語。 読み終えたときに幸せを感じられた本作を受賞作として選ばせていただきました。

 

【ジョーダン de 賞】Zain作「Natt The Nutless」

ある晩のこと。ふたりの木こりが森の中の廃墟で雨宿りしていました。最近徳之島からやって来た又蔵が、退屈しのぎに相棒のナットに物語るのは、彼の故郷にいる「たぬき」なる奇妙な生き物のお話。なんでも人を化かすとか。そんな折、他の木こりたちの間である騒動が発生し・・・。

 

審査員選評(Captain Jordan)

見栄っ張り、嘘つき、言い訳ばかり、弱い者には上から目線で、強い者には媚び諂う卑劣漢、下品で女性にだらしない、ギャンブル好き、ルーズ、ガサツ、足が臭い…そんな男であるにもかかわらず、自分は偉大な人間であるといささかも疑うことのないキャプテン・ジョーダンを満足させるのはどのような作品か? プレイヤーではなく、キャラクターの観点から選出させてもらった。文句なしの一択である。もっともキャプテン・ジョーダンのような男から選ばれることは、はたして名誉と見做してよいことなのかどうかは私には分からない。「ところでオレ様はゴールデンボール愛好会の会長なんだが…おめえは会員一号ってことでよろしくな?」

 

 

【Library Cafe賞】Niboshi作「-Sincerity-」

明るく気風のよい戦士Wgattと無口な魔法使いHugo。対照的な性格の2人は、ギルドマスターの提案でコンビを組むことになります。最初は戸惑いもありましたが、やがて少ない言葉でわかり合える息の合った相棒になっていきました。そんなある日、ギルドマスターから新たな提案が・・・。

 

審査員選評(Latour:Library Cafe司書)

UOはMMORPG。接している誰かはみんな生きた人間です。そして抱く感情は「友情」「愛情」「親しみ」「憎しみ」のような単純でデジタルなものではなく、もっとアナログな、混沌としたもの。本作はそんなUOプレイヤーのリアルな感情や人間関係に真正面から挑んだ意欲作です。

 

 

 


読者賞の行方は?

読者賞について(OUT:飛鳥文学賞実行委員会委員長)

応募の早かった本ほど感想が多い、という傾向が、今年は例年以上に顕著であったため、一概に数で判断することは出来なかったのだが、中でも読者の心を強く動かしたと見える四作品を、読者賞として選出させてもらった。

 

 

【読者賞】mire作「The Night Watch」

ライキュームの教室は明日から夏の休暇がはじまります。生徒の少年ファビオは、大の仲良しのソローニャから彼の家に泊まりに来るよう誘われて大はしゃぎします。立派なお屋敷での楽しい夕食のあと、ベットにもぐりこんだふたり。そしてソローニャは不思議な函を取り出しました。

 

【読者の声】「心が暖かくなるようなお話でした」「フォビアの、ちょっと『ぼくなんか』って所が可愛い・・・」「一つ一つの言葉が持つ感性が縁を弾いた音のように響いて重なり、心地よい読書の一時を彩ってくれました」「非常にこなれた筆力で読者をぐいぐい引き込みます」

【読者賞】Snow-Spider作「Books Says その書が言うには」

長い年月を経てLunaの宿屋で再び目覚めたmika。ひさしぶりにブリタニアに戻ってきた彼女は、意気揚々と狩りに出かけます。でもモンスターは歯が立たないほど強くなっており、装備を揃えようにも手が出ないほど高価です。そんな彼女がたまたま踏んだハウス間テレポーターの先は・・・。

 

【読者の声】「出会いっていいですね」「二人の冒険者がこう、ひかれあっていくところが、何というか、微笑ましい」「実在している施設を利用しているのがニクい」「非常にまっすぐな作品だと思ったぜ」「何よりも、ラストシーンが最高によい」「ハッピーエンドでよかった・・」

 

【読者賞】Super Cool J.作「Even If Nobody Knows」

ヴェスパーに住むアイリーンは、お転婆で心優しくとびきり綺麗な女の子。いつも男の子たちと路地裏や森の中を冒険をしています。そんな彼女が最近興味を持っているのは、街の誰からも相手にされない、元船乗りの飲んだくれでした。彼女が興味を持つ理由、それは彼の帽子が・・・。

 

【読者の声】「きわめて現実的な語り口で文章がつづられているというのに物語の印象は幻想的でロマンティック」「文章力からの読みやすさがあります」「表現の素敵さと言ったら・・・どうやったらこんなフレーズを思い付くのでしょう」「思い出のひとかけらがどこかほろ苦く心に残りました」

 

【読者賞】Melody作「Through the Gates of… ペンと紙の門を超えて」

第三回飛鳥文学賞の〆切まであと1日だというのに、青年作家アルバートの筆は進みません。気分転換に他の応募作品を読みに行ったら、完成度の高さに打ちのめされてしまったのです。女性編集者ビアンカも不安そうに様子をうかがいます。そしてついに爆発したアルバートは・・・。

 

【読者の声】「全編を通じて溢れる疾走感。軽妙に交わされる会話がなんとも楽しい作品でした」「奇想天外なトリックに驚きました。もちろん物語としても楽しめました」「おぉ、これはエンジョイ警察にしょっ引かれてやむなしの享楽的筆致…」「個人的には今大会で一番のヒットでした」

 


作品は6月いっぱい展示します

ご応募いただいた22作品は、Library Cafe新館1階で6月いっぱい展示させていただく予定です。引き続き感想文を募集しております。感想文は授賞式の後にそれぞれの作者にお渡ししますので、ぜひお寄せくださいませ。なお、授賞式の日取りが決まったらあらためてお知らせさせていただきます。

 

 

 


今回もお読みいただきありがとうありがとうございました。ぜひ飛鳥の図書館Library Cafeにいらしてくださいね。また桜の図書館NewMagincia Petrushka Library、出雲の図書館Magincia Library、大和の図書館bibliomania瑞穂の図書館Jhelom Tactics Libraryをよろしくお願いいたします。

 

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Profile

Latour
Latour
Latour(ラトゥール)と申します。みなさんには「ラー」あるいは「司書」と呼んでいただいています。
飛鳥の図書館カフェ「Library Cafe」で司書をしているかたわら、私自身も作家活動も行っています。
本業は「人間も動物も治療できる専業ヒーラー」だったのですが、最近は冒険に出かけることもほとんどなくなり、図書館にこもってばかりいます。

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